金
31
7月
2009
[インプロ]「Learning bar-X インプロと学びを考える」終了!
ここ一ヶ月準備を進めていた「Learning bar-X インプロと学びを考える」が終わりました!
今回のイベントについては、空間・食事・当日のプログラムといった全てのディレクションを私たちが行いました。イベント全体をディレクションすることは初めてでしたが、なんとかイベントを終えることができました!
今回のテーマは「インプロ」。このテーマにあった場作りをすべく、様々な準備をしてきました。当日も午前中から準備を行っていました。
中原先生のblogにもこの様子がアップされています。こちら。
メンバーの安斎君のblogにも感想がアップされています。こちら。
メンバーの牧村さんのblogにも感想がアップされています。こちら。
空間デザイン
空間デザインは、ブルースタジオの笹本直裕さんに依頼をしました。ミーティングの様子はこちら。
私たちが笹本さんに伝えたのは「手がかけられているけど、かっこよすぎるわけではなく、萎縮しない空間」ということでした。
このコンセプトを実現すべく、笹本さんにデザインを考えていただき、予算の範囲内で無印やIKEA等で照明やラグを購入しました。設営も前日から行いました。
(協力してくれたスタッフのみなさんありがとうございました。)
その結果、工学部2号館がこんな空間になりました。
Before
After
「なんということでしょう!」と思わず言いたくなってしまいますね(笑)
参加者は入り口で靴を脱いで、裸足になり、地べたに座りました。いつもは靴で入っている教室ですが、自然とみんな靴を脱いで入ってくれました。
(この日のために、スタッフのみなさんが掃除機等で床をきれいにしてくれました。)
「床も張り直したのですか?」と聞いてくれる方がいましたが、グレーの床はいつもと同じままです。同じ教室でも、机を全部外に出し、ラグを置くことで、元々あったもののように思えないというのはとても面白いなと思いました。
会が始まる前に、隣の人と簡単に自己紹介をしていただきました。
ウェルカムランチ
今回のイベントは12時からということで、イベントの始まりはランチから始まります。
ランチは、フードデザイナーのたかはしよしこさんに依頼しました。ミーティングの様子はこちら。
私たちがよしこさんに伝えたのは「インプロにちなんだ料理」ということでした。ランチを食べるときに、全て用意してしまうのではなく、参加者もしくはよしこさんに、「その場でなにかしてもらうこと」を入れて欲しいとお願いしました。なにかしら「即興」というポイントを入れて欲しかったんですね。
よしこさんは、その依頼に「色鮮やかな洋風ちらし」というかたちでこたえてくれました。直径1mはある大きな寿司桶です。これを参加者ひとりひとりが自分で、お好みでサーブします。
洋風ちらし以外にも、ピーマンの仔羊肉詰めや、サラダなどが用意されています。これが非常においしい。写真を見ているだけで、また食べたくなってきました(笑)。
面白かったのは、よしこさんは笹本さんが事前に作った空間のイメージを見て、「和室っぽい」と思い今回の料理にしてくれたそうです。また、笹本さんもよしこさんがこういう料理にするならということを考慮して、デザインの細部を調整していました。
こういうデザイナー同士の相互作用が、それこそ即興的に場の精度を上げていきます。
参加者のみなさんは、床に座りながら円になってご飯を食べました。
みなさん、おいしそうにご飯を食べています。
活動が始まる前に、みなさんいいかんじにほぐれてくれているようです。
イントロダクション
ランチを食べ終わった後に、中原先生から今回の趣旨説明を行っていただきました。ロゴスの世界だけではなく、「身体」を通した対話の大切さについてお話しいただきました。今回はそれを体験してほしいとのことでした。また、インプロをしていただく、高尾隆先生、中込裕美さんをご紹介いたしました。
インプロワークショップ パート1
ここからインプロワークショップが始まります。
活動部分の打ち合わせについては、中込裕美さんと行いました。その様子はこちら。
インプロはとにかく事前にたくさんのことを決めません。参加者の様子をみながら、活動が決まってきます。それを実際にどう行っていくのか。興味深く見ていました。
最初に高尾先生のお話からスタートします。これは落語の世界でいう「枕」にあたる部分といえるそうでした。落語の世界では、噺を始める前に観客に向かって話をします。それが「枕」ですね。それは、本番を始める前の「導入」ではないのだそうです。
そうではなく、実は「枕」をしながら、この後何を話すのか決めているそうなのですね。高尾先生も同様に、参加者に語りかけをしながら、最初に行うワークを考えているようでした。
話が「がんばらない」という話題になります。インプロにとって「がんばらない」というのは一つの大きなキーワードになります。「がんばることが常によいパフォーマンスを生むわけではない」という話をしたところで、「じゃあそれを体験してみましょう」ということになりました。
このワークでは、二人組になって「相手の伸ばした腕を、もう一人が上から押す」というシンプルなワークです。そのときに「思いっきり力をいれているとき」と「力を抜いているとき」で、どうかんじが違うかを体験します。
すると、「力を抜いているとき」のほうが、腕を下に押さえつけるのが大変なんですね。こうした経験から、「がんばらないこと」がかえってパフォーマンスを高めるということを感じていきます。
次にやったのは、「ハコの中からモノを取り出す」というワークです。このワークも二人組になります。ここでは、「1人がアイデアをうみだし、1人がそれを取り出す」ということをします。ハコからモノを取り出したときに、相手が「これは何ですか?」と問いかけ、問いかけられた方が「これは○○です」と答えます。
このワークを最初にやった後に、次は「独創的で面白いものだけを5つ取り出して下さい」と言われます。こう言われただけで、同じ活動でもまったく質が異なります。
この後に高尾先生から、「検閲」のお話しがあります。大人になると、自分の中に批評家を飼ってしまうというお話しです。
検閲がかかりやすいことば
-エロいこと
-頭がおかしいこと
-普通のこと
ただし、素晴らしい芸術作品はこの3つを満たしているものが多い!とのことでした。このあたりに、「創造性」のキーがありそうです。
インプロワークショップ パート2
後半戦は「ダンス」に近い活動をしました。これも二人一組になりました。ペアはお互いの手を合わせ、リードする側と、それに合わせる側に分かれました。合わせる側は、目をつぶり、相手のリードに身を任せます。
練習をした後に、全体を半分に分けました。前に出てダンスをする人、観客という括りです。音楽がなり始めると、前に出ている人たちはダンスを始めます。
みんながそれぞれシンプルなワークをしているだけなのですが、外から見て非常にきれいにみえます。活動をしている途中に、参加者があっと驚く体験も埋め込まれていました。
ダンスが終わると、「協同で物語を作る」というワークを行いました。身体を動かすだけではなくて、ここから言葉の世界も組み合わせていくというのが非常に面白かったです。
これも二人組になって行いました。各グループが物語を作りながら、身体で表現をしていきます。
写真を見ていただいてもわかると思いますが、気づくと物語の一場面になっていますよね。
<ラップアップの準備>
実はこのインプロのパート2のセッションあたりで、中原先生から「君たち、ラップアップもやってよ。俺の話す時間いらないから」と言われます(笑)。そこで僕らは大あわて!今回の活動の中で、たくさん面白いことが起きているのは伝わってくるけど、それをうまく表現できるか・・・。かなり真剣なモードになっておりました。
インプロのリフレクション
全ての活動が終わった後に、インプロの活動に関するリフレクションを行いました。みんなで非常に大きな円を作り、感想を共有しました。
ここまでの写真を見ていただいてわかると思うのですが、みなさん非常に笑顔なんですね。「即興で演劇」というと、一見かなりハードルが高いように思いますが、みなさんが自分の中の「検閲」を自然と切って楽しんでいるようでした。
ダイアログ on インプロワークショップ
ここからはインプロの今後を考えていくセッションでした。体験した中で、インプロにはどんな可能性があるのか。また、どんな限界があるのか。こうしたことを参加者に語っていただくセッションです。
これから語りを行うための話題提供として、上田信行先生と、カンジヤマ・マイムさんに10分ずつお話しをいただきました。カンジヤマさんには会の途中で急遽、「ちょっと10分間お願いします」という依頼をさせていただきました。
カンジヤマ・マイムさんには、パフォーマンスを交えていただきながら、インプロに関するお話しをしていただきました。
上田信行先生も同様に、パフォーマンスを交えていただきながら、インプロについてのコメントをいただきます。
お二人とも、10分という限られた時間で、言葉だけでなく、パフォーマンスをつかいながらメッセージを伝えます。これは本当にすごいなと思いました。
ダイアローグセッションのテーマや活動は、ワークショップ部で決めました。今回は「三年後のインプロ教育を考える」ということをやりました。三年後インプロ教育がどうなってほしいかということを考えることで、インプロ教育で「出来ること(起こせる学び)」、「出来ないこと」を明確にしてもらうということを目的としていました。
ポスターを作りながら、様々な語りが生まれます。
グループでの活動が終わると、他のグループのポスターを見て回ります。みなさんそれぞれきれいなポスターを作成していました。
最後に、自分のグループに戻って、他のポスターを見た上でどうだったかを話してもらいました。
ラップアップ
非常にドキドキしていましたが、会のラップアップをさせていただきました。ラップアップでは、
・今回私たちがこの場をデザインすることになった経緯
・今回の活動で重要なポイント
の2点をお話しさせていただきました。
元々、中原先生からの突然のお電話で依頼されたこの企画。私たちは一ヶ月間「インプロってなんだ?」ということを考えてきました。
そこで大切にしたかったのはやはり「がんばらない」とか「自然体」ということでした。空間のデザインは、「豪華な食事と豪華な空間」ではなく、どこか力の抜くことのできる空間作りを目指しました。
本日あらためて、インプロをみて思ったのは「即興」って「つらい空間」じゃないことでした。「スベったら痛い」みたいな無茶ぶりの空間ではなく、どう転んでも面白い。そして、シンプルなワークに没頭することが、外から見ると自然に「絵」になる空間なのだなと思いました。
重要なポイントとして指摘させていただいたのは次の3つです。
重要な3点
1.コミュニケーション(表現のためのメディア)の多様性に気づく
私たちは知らぬ間に「コミュニケーション=言葉」だと思っています。しかし、実はコミュニケーションを行うためのメディアは非常に「多様」です。これに気づく大きなきっかけだったのではないでしょうか。
そして、身体だからこそ出来ることとして、「フラットな関係を自然と作れること」があるかなと思いました。カンジヤマ・マイムさんも言っておりましたが、今回参加してくれた人たちも、社会人の人や学生さんなど、多様な人がいますが、活動をしているときには非常にフラットなんですね。
こうした身体ならではのコミュニケーションに気づくことができたと思います。
2.恐怖感を超えて
「大人は萎縮した子ども」これは高尾先生の本にでてくる表現です。人は本来創造的であるけれど、恐怖感によってそれを出せない状況になってしまいます。
今回の活動を通して、最初は周りの人は「評価する他者」だったかもしれませんが、活動を通すことで「受け入れる他者」へと変化していきます。他者に対する認識が変わるんですね。
こうした他者の評価に対する恐怖を取り除くことが重要なポイントになってきます。
3.学習環境をデザインする
それでは、人間の恐怖の感情は直接コントロール可能なのでしょうか?それはもちろん、難しい。
そこで大事になるのは学習環境をデザインするという発想です。今回の場作りにおいても、活動、空間、コミュニティ、食事など、さまざまなものをデザインすることで、恐怖感を取り除く場にしてきました。こうした発想が大切なのではないかという話をさせていただきました。
高尾先生がおっしゃっていたとおり、今回の研究会は「全ての始まり」です。今回参加いただいたみなさんが、それぞれの領域でこうした活動をしていくことで未来は作られていくと思います。また、このメンバーが戻ってくる場所をつくりたいと思いました。
ワークショップ部のこれから
最後に、勝手ながらワークショップ部のこれからについても話させていただきました。
中原先生や上田先生から言われたのは、「いつまでもジャニーズJrでいるんじゃない!」ということでした。つまり、お二人の後ろで踊っている場合じゃなくて、前にでてきなさいということなんですね(笑)
今後はぜひ、こういう場作りを他でも行っていきたいと考えております。
すでに12月26日に「Party of Third Place Learning Collection」というイベントの準備をしております。ここでは学びのサードプレイスに関する実践者に集結してもらい、パーティー形式の学びの場を作ろうと考えております。
大きな仕事ですが、インプロにあやかって「がんばらないで」、自然体でやっていきたいと思っています。
ご協力いただいたみなさま
さて、今回は長時間の研究会だったため、報告も非常に長くなってしまいました。
最後に、今回ご協力いただいたみなさまをご紹介させていただきたいと思います。今回の場は、非常に多くのみなさんのご協力によって作り出すことができました。
○空間デザイン
笹本直裕さん(ブルースタジオ)
○フードデザイン
たかはしよしこさん
○ご登壇いただいたみなさま
高尾隆先生、中込裕美さん
上田信行先生
カンジヤマ・マイムさん
○運営スタッフ
伏木田稚子さん、新田満里子さん、野島繁昭さん
○事務局
坂本篤史さん
○カメラ
中谷さん、鈴木さん
○ワークショップ部のチラシをデザイン・作成
福良和善さん
会の最後に配ったワークショップ部のチラシを作成してくれました。
まだ学部4年生の若手のデザイナーさんです。
デザインの依頼を募集中とのことです。
http://kazuyorumraisin.blogspot.com/
○ワークショップ部
牧村真帆さん
当日はお仕事だったので、参加者のみなさんの前に登場することはありませんでしたが、空間と食事のデザイン等、今回の研究会の非常に多くの部分を支えてくれました。
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最後に、中原淳先生。実際に場作りをほとんどしたことのない私たちに、このような機会をいただきまして本当にありがとうございました。この一ヶ月は、非常にハードでしたが、とても楽しく、私たちにとって非常に大きな学びの機会となりました。
今後のワークショップ部は場作りや勉強会など、さまざまな実践を行っていきます!ご興味ある方はぜひご連絡下さい!
東京大学ワークショップ部の連絡先はこちらとなっています。
utworkshop[アットマーク]gmail.com
[舘野泰一]
ワークショップ部


